修理日記

何でも直して得するブログ

電検三種に合格した話

電気の資格を取ることにした。理由は電子回路設計技術者という資格がないためである。電子回路設計はいわゆる弱電と呼ばれる分野で、携帯電話やゲーム機に象徴される、電池を用いて動く類の機器に使用される回路である。もちろん産業機器にも必要である。最近はスマホが出てきて、音楽プレーヤーやデジタルカメラの売れ行きが厳しいように、何でもスマホが代用するようになってしまった。唯一カメラはミラーレスが流行ったり、一部で性能差から勃興する事があるにしても、音楽プレーヤーなどはその差がはっきりと認識できないことから、専用プレーヤーの売れ行きはいまいちであると思う。その結果電子回路設計技術者という電気屋の部類は、新しく入ってくる人が少なく、学校でも教える人が少なくなってしまった、衰退産業と化している。僕らのような単発で稼ぐことが出来る人の活躍する分野が少なくなってしまった。ただ、自称電気屋として生きていかなければならない。

名刺に電子回路設計と書いても、資格が何も無い事に気が付いた。電子回路設計はどんなにプロフェショナルでも資格が何もないのである。学生時代に取った第二種情報処理技術者(現在の基本情報処理技術者)の資格があるのみであった。直接関係ないにしても、なにか肩書があるのとないのとではやはり違うだろうとの事で、まずは電気工事士の資格を取ることにした。幼いころ電気屋にあこがれていたこともあり、第二種電気工事士の資格に挑戦した。筆記試験と実技試験に分かれている。写真付き参考書を入手して、問題集をこなした。過去問に近い形で出題されているらしく、筆記試験では96点を取ることが出来た。しかし、机上でシミュレーションを重ねた実技試験は、本番で上がってしまい、ミスを連発。見事に落第してしまった。この試験は年間1度しか受験できない。すなわち再挑戦するにしても来年である。次年度はケチらずに材料セットを1万円で購入し、受験。100%の出来栄えだったため合格できた。前年度合格の学科は免除されるのだが、試験料は不変である。皆さんも挑戦するなら材料を買って手に覚え込ませることを推奨する。ちなみに第二種電気工事士のままでは、自家用電気工作物の工事において、たとえ低圧であっても行うことが出来ない。そのためにはさらに12,000円ほど支払って講座を受講し、認定電気工事士の認定を受けなければならない。ほとんど使わないとは思うのだが、こちらも年に一度程度?しか認定講座を行わないとの事なので、いつ何が必要になるかわからないと思い込み、受講することにした。まあ、無駄に終わるだろう。ちなみに学校には電子工学科と電気工学科というのがあって、何が違うのかと当時わからなかったのだが、電気工学科を卒業すると、第二種電気工事士の学科試験が免除されるらしい。すなわち強電が電気、弱電が電子なのである。このことはどこにも書いてなかった。つくづく電子を選んでよかったと思ったのだった。

第二種電気工事士の資格を調べていた時、電検三種という資格があることに気が付いた。正確には第三種電気主任技術者である。当然第二種と第一種があるが、第一種においては国内のどんな電気設備も扱うことが出来るとの事で、相当難しい試験のようだ。第三種においても、一発合格は7%台という、それだけで難関な内容に思えた。こちらもそのうちとってみようと考えていたのだが、電気工事士で味をしめたので、流れで受験することにした。分厚い過去問題集を準備した。内容を見て驚いた。過去に学校で勉強した電気の知識を一から問うものであった。第三種は高専卒業生を主眼に置いているとの事だが、見事に電気に関する知識、それも交流に関しての網羅度が高かった。問題をといて回答を確認すると、昔の知識がよみがえってきた。弱電では交流回路の性質なんてほとんどやらない。懐かしく、新鮮でもあった。ただ問題があった。このペースで勉強していたら1年以上かかるだろう。しかも、理論、電力、機械、法規と分野わけが4つもあり、それぞれに奥が深かった。水力発電所の発電機の方式とか、送電線の張力からたるみ長さを求める計算など多岐にわたった。この前北海道のブラックアウトがあったが、連系の周波数に変動があると、自分の発電機が故障してしまうため切り離しを行わざるを得ないことなど、この勉強をしていたから理解出来ることが増えた。

そのうち過去問だけではなんら解決しないことに気づいた。つまり分野が広いため、過去問はすべてが新鮮であり、この調子ではすべての過去問を解かなければ全体を把握できないことに気が付いた。そこでもう一冊、教科書の付いている参考書を入手することにした。問題もあるが、代表問題だけである。ただ代表問題を何度も行うことで頻出問題に対しては強くなった。

勉強の手順は次のとおりである。まず教科書を読みながらその末尾についている代表問題をこなす。それを2回転回した。受験3ヵ月前から行った。その後、試験一か月前からは、過去問をひたすらとくことにした。分野をローテーションしながら、一年度分の試験を試験時間内に解くのである。よく時間が足りないと聞くが、この勉強法では時間が足りないことはなかった。理解できていない部分が浮き彫りになるので、それを教科書に戻って続けるのである。以上の手順を経て、無事に電検三種に合格することが出来た。しかしながら相当骨が折れたことは事実である。最後の一か月はほぼ受験勉強に費やすことになった。それだけの物量があるものと理解して取り組んでほしい。ちなみに科目合格の制度があるため、科目ごとに3年間は受験が免除される。4分野同時に勉強する時間がない場合、その点をうまく活用しながら受験するのも手である。    (2356)